Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ よせばやし

寄席囃子 正岡容寄席随筆集

正岡 容

Lesen Sie 寄席囃子 正岡容寄席随筆集 (ずいひつ よせばやし) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.259 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

随筆 寄席風俗

わが寄席随筆

大正末年の寄席

百面相

かの寺門静軒が『江戸繁昌記』の「寄席」の章をひもとくと、そこに「百まなこ」という言葉がある。「百まなこ」とは柳丸がよく用った花見の目かづらのようなものだが、これが「百面相」を生んだ母胎だろう。そうして百面相自身も天保の昔には、わずかに瞳と眉と、顔半分の変化をもって、あるいは男、あるいは女、あるいは老える、あるいは稚きと、実にデリケートにさまざまの千姿万態を、ごらんに入れた演技だったにちがいない。だがなるほど、この方がほんとうだ! 魂の問題からいってもずっとほんとうで芸術的だ!

それが春信や栄之の淡い浮世絵は、ついに時代とともに朱の卑しき五渡亭が錦絵となったがごとく、後年眉を彩り、衣装をまとい、惜しみなく顔と五体を粉飾しつくして、やれ由良之助だ! 舌切雀だ! そうしてステッセル将軍だ! と、ずいぶん、お子供衆のおなぐさみにまで、推移していったものらしい。

しかし、考えると、かえって当初のものの方が、よほどほんとうの嘘のない文明精神の発露であったような気もされる。そうして、世の常の文明なるものも、みんな、このたぐいの、実は進歩だか、退歩だか、まったくもってわからない、いや、進歩でもあり、退歩でもあるもののような気もせずにはいられない……。