Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.161 Zeichen · 412 Bildschirme
特に鏡と画面とから離れて空で考える時には、鏡の顔はいつでも影が薄くて絵の顔のほうが強い強い実在となって頭の中に浮かんで来るのである。これではだめだと思った。絵を見つめる時間をなるべく減じて鏡を見る時を長くしなければいけないと思った。
絵の中にいる人間とかいている自分との間には知らず知らずの間に一種の同情のようなものが生じて来るような気がしだした。画像が口をゆがめて来ると、なんだか自分も口をゆがめなくてはいられなくなるようであった。自分が目を細くしていると画像もいつのまにかそうするように思われた。絵の顔が気持ちのいい日はなんだか愉快であるが、そうでない日は自分もきげんがよくなかった。
調子のごくごくいい日にはいいかげんに交ぜる絵の具の色や調子がおもしろいようにうまくはまって行く。絵の具のほうですっかり合点してよろしくやってくれるのを、自分はただそこまで運んでくっつけてやっているだけのような気がする。こんな時にはかなり無雑作に勢いよく筆をたたきつけるとおもしろいように目が生きて来たり頬の肉が盛り上がったりする。絵の具と筆が勝手気ままに絵をかいて行くのを自分はあっけに取られて見ているような気がするのである。