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Japanische Klassiker mit Furigana

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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

で、それが三回繰り返された後に「ヤ」のところで糸が巻き取られるのである。「ビーン」の部で鉄針とそれにつながる糸とが急速な振動をしているために一種の楽音が発生するが、巻き取るときはそうした振動が中止するので音のパウゼが来るわけである。要するにこの四拍子の、およそ考え得らるべき最も簡単なメロディーがこの糸車という「楽器」によって奏せられるのである。そのメロディーは実に昔の日本の婦人の理想とされた限りなき忍従の徳を賛美する歌を歌っていたようなものかもしれない。

右手と左手との運動を巧みに対応させコーオルディネートさせる呼吸がなかなかむつかしいもので、それができないと紡がれた糸は太さがそろわなくて、不規則に節くれ立った妙な滑稽なものにできそこねてしまうのである。自分など一二度試みてあきれてしまってそれきり断念したことであった。

ひと年かふた年ぐらい裏の畑に棉を作ったことがあった。当時子供の自分の目に映じた棉の花は実に美しいものであった。花冠の美しさだけでなくて花萼から葉から茎までが言葉では言えないような美しい色彩の配合を見せていたように思う。観賞植物として現代の都人にでも愛玩されてよさそうな気のするものであるが、子供のとき宅の畑で見たきりでその後どこでもこの花にめぐり合ったという記憶がない。