Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはるのきつね

小春の狐

泉 鏡花

Lesen Sie 小春の狐 (こはるのきつね) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.102 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「この蕈は何と言います。」

山沿の根笹に小流が走る。一方は、日当の背戸を横手に取って、次第疎に藁屋がある、中に半農――この潟に漁って活計とするものは、三百人を越すと聞くから、あるいは半漁師――少しばかり商いもする――藁屋草履は、ふかし芋とこの店に並べてあった――村はずれの軒を道へ出て、そそけ髪で、紺の筒袖を上被にした古女房が立って、小さな笊に、真黄色な蕈を装ったのを、こう覗いている。と笊を手にして、服装は見すぼらしく、顔も窶れ、髪は銀杏返が乱れているが、毛の艶は濡れたような、姿のやさしい、色の白い二十あまりの女が彳む。

蕈は軸を上にして、うつむけに、ちょぼちょぼと並べてあった。

実は――前年一度この温泉に宿った時、やっぱり朝のうち、……その時は町の方を歩行いて、通りの煮染屋の戸口に、手拭を頸に菅笠を被った……このあたり浜から出る女の魚売が、天秤を下した処に行きかかって、鮮しい雑魚に添えて、つまといった形で、おなじこの蕈を笊に装ったのを見た事があったのである。

銀杏の葉ばかりの鰈が、黒い尾でぴちぴちと跳ねる。車蝦の小蝦は、飴色に重って萌葱の脚をぴんと跳ねる。