Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
「なんだとて、あんなものを案内して来たんじゃ!」
「おれが案内して来たわけじゃない。ふらふらとこっちへやって来たら、和服の陸軍中将も興に乗って、ふらふらとついて来たから、一緒にここへ這入ったまでさ」
「なにが陸軍中将じゃ。貴様、そういうような諛った真似をするから、みんなからも爪はじきされるんじゃ。女将も女将じゃ。江戸の名残りだの、めずらし屋だのと、利いた風な看板をあげておいて、あのざまはなんじゃ! こういう風なことをするから、成り上り者が、ますますのさばるんじゃ」
「そういうことになろうかも知れんの」
「知れんと思ったら、貴様はじめ、こんな真似をせねばよいのじゃ! するから、尾っぽをふるから、心のよごれぬ女までが、お雪のまうなものまでが――」
たまりかねたとみえて、新兵衛は、膝の横に寝かしてあった大刀を、じりじりと引きよせた。
しかし、なん度もなん度も膝を浮かして、襖に手をかけようとしたが、その紙ひと重の襖が、今はもう遠く及びがたい城壁のように、ぴったりと間を仕切って、たやすく開けることが出来なかった。
「馬鹿めがっ。意気地なしめがっ。こういうことになるから、こういう目に会うから、今の世の中は気に入らんのじゃ! ――女将! 女将!」