Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
「お一人らしゅうございます。四つか五つぐらいになられる若君ですが、………」
「ほゝう、では七十を越されてからのお子なのですね」
「えらいものでございますよ」
平中は、なおいろ/\とその人のことを根掘り葉掘り問われるまゝに、知っている限りは知らしてやるのに吝かでなかった。いかさま、思い返して見れば、二度とあゝ云う蘭たけた人に出遇えるかどうか分らないけれども、でもゝう自分は、あの人との恋は一往叶えたのである、どう云う相手であったにしろ、その人の魅力の程は知ってしまった、その人との夢は見つくした、自分はその人にもはや全く興味がないとは云わないけれども、矢張それよりは未知の女、―――次から次へ技巧を構えて自分の情熱を煽らずには措かない人の方へこそ、遥かに強く惹き着けられるのを感じる。―――平中はそんな気持であった。漁色家の心理と云うものは、王朝時代の紳も江戸時代の通人と同じようなもので、過ぎ去った女のことに後々までこだわっているつもりはなかった。もし左大臣が執心とあるならば、どうなと好きなようにされるもよかろう、―――と、彼はそれぐらいに思ったでもあろうし、それに又、あの大納言のような好人物の眼を偸んでそう/\不義なことをするのは、他人は知らず、彼としては何となく気が済まないところもあった。