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Japanische Klassiker mit Furigana

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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしは発作的に頭の中に閃いた一つの疑いを母の顔の上に投げつけた。

「莫迦な――そんなことが」

と言いながら母はわたしの視線を避けるもののようにうつむいてしまった。

「何か遺書のようなものはないんですか?」

「さあ、それが、――何が何だかわたしにも少しもわからないんだよ。一昨日の朝なぞ、とても機嫌がよくてはしゃぎ廻っていたんだがね。別に気にかけているようなこともなかったようだし、夜も此処で一人で本を読んでいたようだったがね。そいでも虫が知らせるというものか、あの晩にかぎってわたしはどうしても寝就かれんのじゃ。一時過ぎじゃったと思うが大きい声で春代を呼んでいたがそれも二、三度呼ぶと止めてしまった。それから暫く経って忍び足でわたしの室までやってきて蚊帳を覗くようにするので、わたしが声をかけると笑いながら、お前は未だ起きていたのか、おれは今夜は調べ物があるからもう少し起きているのじゃが急須が無いんで探していると言うから、急須はたしかお前の室にあった筈じゃがと言うと、ああそうか、それはうっかりしていたと言いながら行ってしまった。そのときは気にもとめなかったが今から考えるとあのときの様子が変じゃった。