Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
私は十人の警備係を選び、自分が臨時の警備隊長になって不寝番にあたることにした。毛布一枚を腰に巻いて野天に寝ころんでいると草はいつの間にか夜露にぬれ、肌に迫る冷々とした寒さで思わず眼が醒めた。もうそろそろ夜が明けるであろうと思われる頃、遠くの空から妙な唸り声が聞えてきた。それが次第に空一ぱいに広がってくる。
「飛行機だ!」
みんな一斉に起きあがった。プロペラの烈しい唸りが徐々に威力を加えてきたとみるまもなく、爆弾が投下されたらしい。ダダン、ダダン、――と立てつづけにおそろしい音がして大地がぐらぐらと揺れだした。
「皇軍機だ」
と、叫ぶ声が聞えると、闇の中にかたまっていた顔がみんないきいきと動きだした。方角はサン・ニコルス飛行場らしい。庭の中は人で埋っている。慌しい空襲警報が八方から唸りだした。何の音か、風を伝って烈しい響きが流れてきた。マニラ全市が騒然としていきりたっているのだ。空に向って花火のように高射砲の火線が絶え間なしに打ちあげられている。居留民たちの肩の上に月のかげが落ちている。みんなぎっしりと身体を擦り合すようにして立ちならび、東南の空を見詰めている。