Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
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瀬川君は妙に昂奮しながら話した。彼がその巣を見つけたとき、町はずれの淫売宿にいる若い女がうしろからのぞきこんでいたということに彼は不安を感じていた。
次の日、南里君はその巣を見るために出かけた。石地蔵のところから、南里君は丹念に断崖の上に注意していったが、しかし、何処にあるかまるでわからなかった。南里君は茫然として立ちどまったまま所在なさに煙草を喫うためにマッチを擦った。すると、その音に驚いたようにすぐ眼の前の岩の小さい裂け目から羽搏きをしながら一羽の鶺鴒がとびあがった。南里君は慌てて身をひいた。その裂け目の上の方に枯草を積みあげてつくった小さい巣と、その中におずおずとうごいている三つの雛の頭をたしかに見たからである。一瞬間、南里君はかすかな衝動に襲われた。南里君が手をのばしさえすれば一羽の雛を容易に奪いとることができるのである。南里君はその雛が欲しいのではない。唯、自分の盗心が誰れにも気どられないで済むという気持が彼を唆りかける。――南里君はそっとうしろを見た。誰れも近づいてくる者はない。南里君は素早く手をのばした。南里君は心臓が顫えるのを意識するとほとんど同時に指の先きから伝わってくるやわらかいぬくもりの中に少女の生活を感じた。