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Japanische Klassiker mit Furigana

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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

「とにかく大へんなことをやりましたよ」

と、ケロリとしている伍一の顔を不満そうに眺めながら、その日の未明に蹶起した青年将校の一団が幾手かにわかれて要路の大官の屋敷を襲い、今、警視庁を占領してそこに立てこもっているというはなしをしたあとで、

「僕も、――」

と言ってから、しばらくもじもじしていたが、

「いよいよ、立つときがきましたよ、時が来たんです、時が」

ひとりでに胸の底からのぼってくる言葉をどうにもおさえきることができないというかんじだった。そこへ、台所口で近所の薬屋の御用聞きと話をしている登代が扉のそとから呼びかけた。

「大へんよ、――今ね、あそこで電話をかけているひとのはなしをきいたんだけど、今朝、総理大臣も教育総監もそれから大蔵大臣もみんな殺されてしまったんですって」

「ほんとうかい?」

と言いながら伍一はやっと意識の上にうかびあがってくる現実の情景を頭の中にハッキリ描きだした。多吉の話をきいているときには何か空虚な空々しいものがかんじられて、半信半疑でいたものが急に防ぎきれない力となって身近に迫ってきたのである。

「とにかくおれは舟形の家まで行って来よう――ことによったらその足で東京まで行くことになるかも知れないからね」