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Japanische Klassiker mit Furigana

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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

どよめくような感興は何時まで経っても湧いて来なかった。やがて一人立ち二人立って空席がだんだんふえてくると伍一もじっとしていられない気もちになり、ちらっと前の席から眼配せして内狩のあとから、便所へゆくようなふりをして表の扉をあけると先に出た批評家の秋庭が内狩とならんで彼の方を向いて立っていた。

時間はまだやっと八時を少しすぎたばかりでもあるし、このまま別れてかえるにもかえりきれないかんじで、「何処かへゆこうか!」と伍一が言うと、

「さア」

と、内狩はどっちつかずの返事をしてから、

「今夜あたりが一ばん危いんじゃないか、このままかえった方が無事らしいな」

呟くような声で言ったが、しかし、右に省線の駅のあかりの見える四つ角まで来ても方向を変えようとはせず、名残惜しそうにあたりを振りかえっていた。銀座の表通りにはさすがにほとんど人通りはなかったが、雪はまだ街の片隅につみあげられ、どの屋根からも雫が滴り落ちていた。もう戸をしめる用意をしている店が多く、氷りついた路上に灯火のかげのゆれているのさえ何故ともなくうす気味のわるいかんじで、歩きながら伍一は、「行こうか、行くまいか」