Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
伍一は次第に切迫してくる感情を避けるために、「おい酒を持って来い」ととなりの部屋にいる登代に命じてから、
「だけど君、――そのことはまた別じゃないか、すくなくとも僕の認識の中では今度の事件についての君の役割は終っているよ。それにもし君が逃亡したとなったら家の方じゃ大へんなことが持ちあがるぜ」
「そうなんだ」
と丈吉が沈痛な声で答えた。八人の弟妹の顔や、老父母の顔が彼の瞳をかすめたのであろう、丈吉はときどき襲いかかる三日前の幻影――まだ彼の頭の中では消えがたい影を曳いている、――に胸をときめかせながら、
「僕にはまだ、今あらわれている事実だけでは信じられないものがあるんです、だからハッキリどうにもならぬという見極めがつくまで何処かへ身を潜めていようと思うんだが」
しかし、すぐひとりごとのようなぼそぼそとした声になって、
「だけど、やっぱり自首するのがほんとうかも知れないな、――しかしこの身体で二タ月も三月も留置場へつながれていたんじゃあすぐにまいってしまうと思うんですよ、ああ、やっぱり気にかかるのは家のことだな、取調べは長びくにきまっているし」
自分の陥ちこんだ運命をまだハッキリ自覚しきれないもどかしさのために彼は絶えず下唇をじっと噛みしめたり、烈しい貧乏ゆすりをしたりしていたが、酒が入ると少し気もちが楽になっ