Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
ただこれだけの文言であったが私の頭に沁みついている田舎の風景や、さまざまな子供のあそびまでもすっかり母が持って帰ってしまったような気がするのであった。すると数日経って母から手紙が来た。それには「カニ」は近いうちに送るが「スズメ」は送ることができないから、木や電信柱にとまっている「スズメ」を自分のものだと思いなさいと書いてあった。その手紙と一足ちがいに私宛の小包が届いたのである。それは巌丈な白木の箱であったが、ところどころに穴があいていたので叔父は不審そうな顔をしながら太い火箸で釘づけにされた箱をこじあけた。すると中から赤いカニが鋏をもたげて勢いよくとびだしてきた。「カニ」は座敷の中を這い廻ってなかなかつかまらなかった。叔父は到頭怒りだして階下にいた書生を呼んで、「カニ」をみんな庭へ捨てさせてしまった。
「田舎者ってほんとに気が利かないわね」
叔母も、母の私に宛てた手紙どおりにほんものの「カニ」が送られて来ようとは思っていなかったのであった。それから一年経ち、母が田舎から迎いに来た。叔父からの手紙が届いたからである。どうしても馴染まないので叔父も到頭私に我を折ったのであった。