Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
四
学生としての生活がわたしにとって全く意義を失いかけていたのだ。その頃日本に漸く芽をのばしかけたある社会主義者の集団に身を投じていた――わたしはそのためにわたしの心に幾つかの厭うべき記憶が残されたのであるが――最早数ヶ月の間、学費を納めることを怠っていたし、自分がW大学の学生であるということをすらも、父に対して学費を請求するときのほかには意識したことがなかった。しかし、兄は弟の嘘を信ずることによって、これから展かれるべきわたしの半生の中に、彼自身が失った空想を取戻そうとしていた。こうして父の生前彼に対する一つの大きな義理であったところの学生生活が再び兄から金を取る手段として用いられようとしているのだ。
その翌日、父の葬式を済ますとすぐにわたしは東京に立った。
四
秋の朝であった。わたしはそのとき下戸塚の下宿屋にいたが、母から一通の手紙をうけとったのであった。それは兄の生活の近情を報じたものであった。兄が相場に手を出しはじめたこと、――それが二、三回当ったために、母が最もおそれていたところの彼の遊蕩がはじまったこと、夜、家へ帰らない日が多くなったこと、そして母の想像し得るかぎりでは、兄はN町のある芸妓に馴染んで毎日のように彼女のところから電話がかかってくるごとに出掛けてゆくこと、そのことのために母に対する彼の