Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
甲武信岳の頂上から左下に掻き取ったような赭色の崩壊面を見ながら、西を指して狭い尾根を百二、三十米も下ると、一小峰に達する。古い切明けの跡はあるが、新らしい若木が充分に生長しているので、行先がうまく見透せない。殊に唐松の一丈位のものは大に邪魔をする。此小峰を踰えて二千四百米に近い一峰を上るのであるが、此通過がなかなか困難である。測量部でも御料局でも切明けを造らなかったと見えて、僅に国境を査定した時のものらしい古い木の切株があるのを頼りに、灌木喬木倒木の雑然と入り乱れた中を、会釈もなく押し通るのである。目先が見えないので、同行の中村君や南日君と別れ別れになって、途轍もない方へ出て、互に声を懸け合って戻ったことも少なくなかった。後で梓山の猟夫に聞いたらミズシと教えて呉れた。どんな字を書くのか分らない。甲武信岳から一時間近くもかかる。此処を下りて又登り詰めた所が二千三百七十九米の地点で、ミズシから一時間半を費せば足りる。路は相変らず困難であるが前程のことは無い。此山も名の知れない一である。直ぐ北に続く山は富士見というので、此処よりも二十米許高い。恐らく国師、甲武信の間に於ける最高峰であろう。