Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
黒沢を過ぎると河原は次第に狭くなって、大きな岩が河床に突立ったり横に峙ったりしている。時には小高い崖なども現れる。そんな場所には屹度左岸に上の方を廻る元の道が壊れずに残っていた。それでも二度三度あちこちと徒渉したろう。水が深いのでもう前のように楽ではない。一度などは川底に紺屋の藍瓶を伏せたような濃藍色を呈した甌穴の連っている間の縁を、股を没する急流に押されながら渉ったこともあった。湯沢の合流点の下では水深腰の上迄も及んだので最も苦しめられた。此処で左岸に徒渉すると、立派な道が雑木の茂った段丘の上に通じている。烟草の包紙やキャラメルの箱などそこらに落ち散っているのは、湯治客の捨てたものであろう。
これから道は暫く川と離れる。山坡を下って小沢を渉った。ふと見ると上手の浅瀬に二尾の岩魚が泳いでいる。人影に驚いて岩の下へ隠れたのを幸に、上下を堰止めて大金が造作なく手捕にした。二疋とも尺に近い。産卵する為にこんな小沢に上るのだそうだ。錆沢というのを過ぎて、道端の落栗を拾いながらだらだら坂を下りて温泉宿に着いた。
温泉宿は一軒だが二階建の大きな構だ。川に臨んだ左岸の崖の上を切り開いて流に沿うて縦に長く建ててある。