Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
未だ日も高いし、駒ヶ岳へ登るには上松に泊る方が便利なので、川沿いの道を南に下って行く。桟橋の旧跡といわれているあたりは、木曾川の幅も岩崖の間に狭まり、泡立つ急流が足の下に迫って、一寸好い景色であった。上松で聞くと、寝覚からも駒ヶ岳へ登る路があるというので、これ幸とそこ迄行くことにする、町はずれの左側に石の段があって、「駒ヶ岳登山道是より四里二十町」と書いた標石が建っている、是が一合目に在る里宮に通ずる道であろうと思った。間もなく寝覚に着いて、越前屋というに荷物を預け、寝覚の床を見物した。余り期待が大きかったので、これなら規模は小さいが、岩は寧ろ一之関の厳美渓の方がよいと思わず独語したのは、少し当のはずれた腹癒せに外ならない。臨川寺の前には浦島堂というお堂があって、浦島太郎の遺物と称するものが保存され、釣竿だという二間あまりの布袋竹らしいものもあった。
越前屋に戻ると、部屋に案内されてまだ腰もおろさぬ中に、女中から、
「お客さん、そばでお泊りか、御飯でお泊りか」
ときかれて、何の事か能く意味が分らず、返事にまごついたのであった。謂れを聞けば浦島太郎に因んだ長寿そばというのが此家の名物であるとのこと。