Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
駅前の旅館で昼食を済し、荷が多いので女の荷持を一人雇い、平坦な四里の道を歩いて、愛本橋の袂の茶屋で一休みする。直ぐ上は謙信の物見山と呼ばれているそうだ。荷持の女は此処から返した。
三十里の長い流程を、自ら穿った深い谷底に躍り狂い喚き叫んでいる黒部川も、この幅四十間あるかなしの峡口でぐいと引括られた後、広い扇状地に向けて一挙に解放されている。それだけに此処は物凄い淵を成し、薄濁りを帯びた水が大きな渦を巻いて、捩れた漏斗のような口を開きながら、底の方から気味悪るい音を吐き出している。崖にのり出した一本の松の下には、深さの知れない穴があって、竜宮に通じているのだそうだ。此穴に主が棲んでいる。此主へ愛本村の平三郎という人の娘が嫁に入った。いよいよ淵に入る段になると、狭霧が水面を立ち罩めて、少しも様子が見られなかったという。娘は屡々里へお客に来た。或時決して見ることはならぬと警めて、一間に籠ったのを、母親が怪んで窃に覗き見ると、盥の中でお産をして、三疋の竜の子を生んで居たそうである。それから娘はパッタリ来なくなった。此主は其後も時折村の娘を掠奪に来たそうだ。