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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

浅貝の谷間でさえも土の見えている所はない。漸く見慣れた杉森を探し出して双眼鏡で附近を物色すると、まだ屋根が半ば雪の上に出ているだけなので、少なからず驚かされたのであった。

愈々苗場登山の目的で友人の松本君と法師温泉に着いたのは六月の初めであった。雪は最早消えて新緑の世界となっていた。裏庭の桜も散ってしまって、庭前の樅の木で囀るミソサザイの鳴声も聞かれなかった。翌日は雨の中を三国峠に登ったので、何の眺望も得られない。昔は六十六戸もあったという浅貝の宿も、今は十五、六戸に減じている。一月遅れの節句だというので、とある家で昼飯の代りに粽を食べた。実にうまい。水に浸して置けば幾日も饐えないという。之は一握りの餅米を三角形に笹の葉で幾重にも包んで、その儘それを蒸すのであるが、米を包むのがなれぬとむずかしいものだそうである。

元橋という所で三国街道を離れ、浅貝川を徒渉し、それから清津川に沿うて西に入ること四時間許りで、赤湯山の西北に在る赤湯温泉に達する。途中蕨と独活と筍(根曲り竹)の多いのには一驚した。独活などは全く林をなしている。この次は是非五月中旬に来て、思うさまあの豊脆な味を賞美したいものだと松本君と申し合せた。