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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

杉や檜のこんもり茂った鎮守の森の前を通って、路はだらだらと畑の間を登って行く。右にも左にも遠く近く落葉松の木立ちがちらほらと目に入る。昼近い日光は散り残った鮮かな黄や萌黄色の葉を照して、そのあたりの美しい空気は明るく輝いている。一体に明るい景色だ。鶏の鳴声までがこの明るい景色を代表したもののように華やかで明るい。

「オイまだか、遠いな、なぜそんな奥の方の家をよって泊ったんだろう」

これという程の朝食を取らなかった洋服の人は、頻りに空腹を感じて、昼飯を炊かせる筈の家が遠い遠いと言いながら、かこち顔に鬚男を責め立てる。

「もう直ぐだよ、あすこに見える二階作りの家がそうだ」

家の人達は此夏泊ったことのある鬚男の顔を見知っていた。三人は草鞋ばきの儘土間に這入って、座敷の上り框に出して呉れた布団を敷いて腰掛けながら、米を出して炊いて貰う。大きな炉の自在鍵に吊された鍋が沸々音を立てるのを、横目にちょいちょい睨んでは、主人とぽつぽつ山の話を取り交わすのは洋服の人だ。みどりという女の子がいる。これも都会よりは山奥にふさわしい名前かも知れぬ。

三人は昼食を済すと唐松尾に登った。