Japanische Klassiker mit Furigana
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やまぶきちょうのさつじん
山吹町の殺人
平林 初之輔
Lesen Sie 山吹町の殺人 (やまぶきちょうのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.530 Zeichen · 37 Bildschirme
芳醇なカクテールにほんのり微酔(ほろよい)していた三四郎は、
「そりゃ困るね。君が居なくなっちゃ僕の生活はアメリカ無しのコロンブス同然だよ」と彼はドストエフスキーの文句をひいて不良少年じみた冗戯(じょうだん)口調で言った。
「でもね」と光子は存外真面目(まじめ)で、矢張り四辺(あたり)に気をくばりながら低声(こごえ)で続けた。「カフェの女給なんてまったく奴隷みたいなものよ。主人からもお客からもふみつけにされてね。それでいて朋輩(ほうばい)同志だってみんなひがみあっているのよ。口先では体裁のいいことを言っているけれど、女なんて心の中じゃみんな仇(かたき)同士だわ」
日頃からフェミニストをもって任じていた三四郎は、女からこの現実的な訴えをきいて、虐(しいた)げられた女を虐げられた状態のままに享楽しようとしていた自分の矛盾を恥じた。そして非常に感激して、急に真面目になって言った。
「そりゃいい決心だ。まったくこういう所に長くいてはよくない。があとで生活に困りやしないかね?」
「………」
「月にいくらあったらやっていけるもんかなあ?」
「いくらもかからないと思うのよ。