Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまぶきちょうのさつじん
山吹町の殺人
平林 初之輔
Lesen Sie 山吹町の殺人 (やまぶきちょうのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.530 Zeichen · 37 Bildschirme
「すみません、すみません……」
と言いながら、嘉子は新聞をそばにおいたままとうとうその場に泣き伏してしまった。
三四郎は非常に緊張して新聞の記事を読みおわった。彼は、自分に嫌疑がむいて来ることはもう覚悟していたのであったが、それでも新聞の記事を読むと胴慄(どうぶる)いがとまらなかった。が新聞記者が嘉子に少しも嫌疑をかけていないのを発見してほっとした。やっぱり嘉子ではないのかなと思って彼は嘉子の方をちらりと見た。嘉子はまだ顔をふせたまますすりないていた。矢張り嘉子だ。「すみません」とたった今彼女が言った言葉の意味が、彼にははっきりとわかったような気がした。
二人は互に相手の言葉をおそれた。慰さめることも、責めることも、といただすことも敢(あえ)てし得なかった。ただめいめい自分の胸の中で全てを諒解してだまっていた。
六
その朝私立探偵上野陽太郎(うえのようたろう)は、マドロスパイプをくわえながら、矢来(やらい)の通りの舗石道(しきいしみち)を大股に歩いていた。彼は必要のない時には何も考えないで出来るだけ頭を休めておくということをモットーとしていたので、今もそれを忠実に実行しているらしかった。