Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
樹の下は、皆石である。石の上に、根を托さぬ樹は少い。その石も、樹も、皆、水の威力に牽引されているようで、濶々とした河原に、一筋水が走っている。この水のみが、活物の緑を潜めているかと思われる。およそ、山の中の氷の下から、数珠を手繰るように落ちて来る、峡間の水ほど力の強い、自由の手も少いであろう。そうして、未だ、深秘の故郷にいるかのように、足踏して跳り狂っている。根曲り竹も、楊の根も、樅の肌も、はた長くしな垂れるサルオガセも、その柔嫩の手に、一旦は、撫でられぬものはない。華麗と歓楽とを夢みるように、この雪白く、氷堅き北方の閉鎖から解かれて、南方の奢侈を、立ち姿や、寝像にまで現して、昼となく、夜となく、おそらく、千年も万年も、不断の進みをつづけているのだ。ああ、本洲の比類のない水成岩山、その高きこと、一万尺、古生層地の峡間を流れる水! この氷の解放に伴って、いくばくの犠牲を、要求されているかは、河原の荒涼粛殺を見たまえ。性なきまでに白げられたる、木の骨――というより外に、与える名がない――と、砂に埋まれた楕円石や、稜角の鋭いヒイラギ石やは、丁度、人間の屍骸が、木乃伊となって、木偶か陶製の人物か、区別が見えないと同じように、原性を失って、唯一自然の平等相に復帰している。