Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
麻の草履が、よく磨きあげた大理石の廊下でも走るように、止めどもなくつるつると滑り始めた、前にのめって顔でもすりむいてはと、気がかりになって、ちょっと反り身になると、身体が膝を境に「く」の字の角度をして、万年雪のおもてが、蚯蚓張りに引ッ掻かれたかとおもうとき、金剛杖は私の手から引ッたくられたように放り出されて、私は両手で雪を突いた、傾斜がついているから、そのはずみに、軽い体が雪の上を泳ぎはじめた、アッア、アッと本能的に叫んだときには、足の爪先が吊り上げられたように、万年雪を蹴って、頭の中は冷たい水をさされた、もういきおいのついたうわずった身体が、雪田の境にある断石の堤防へ、けし飛んで行った。
先へ下りた嘉代吉が、血相かえて、私に抵抗するように、大手をひろげて、向って来たかとおもったとき、私は嘉代吉の懐にグイと抱き締められていた、「どうしました、怪我はしませんか、怪我は」私は黙って首を振った、胸が重石で圧されたように痛い、雪田を下りかけた人夫は杖を突っかいながら、呆気に取られた顔をしている。
しばらくは嘉代吉の肩に凭りかかりながら、徐々と雪田を下った、裾の方へ来ると、水音が雨に伴って、ざわつき出した、くるぶしを痛めたので、跛足をひきながら、石の小舎へ来た。