Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme

Aozora Bunko

石は人の手入れを経ない、全くの自然石で、不思議にも中はおのずと、コ字形に刳ぐられていて、濶さは一坪半ぐらいはあろう、四人ぐらいは潜れそうであるが、うっかり立てば頭を打ちつけるほどに低い。嘉代吉と人夫が荷を卸して、油紙で庇を拵えてくれるのを、待ち兼ねて、石の中へ潜って寝た、雨はざんざ降りになって、庇から岩を伝わっては、ポタポタ雫が落ちる、防水布の外套に包まれて、ココアを一杯興奮剤に飲んだまま、飯も喰わずにたわいもなく痲痺したようになって寝た。

夜中にふと眼をさまして、石の外へ這い出して覗うと、雨はいつか止んだらしいが、風はゴーッと唸って、樺の稚木が騒いでいる、聞きなれない禽が、吐き出すように、クワッ、クワッと啼いている、どす黒い綿雲がちぎれて、虚空をボツボツ飛んでゆく間から、三日月が燻ぶし銀のように、冷たく光っている、嘉代吉や人夫の寝顔までが、月のうす明りで、芋虫のうす皮のように、透き徹って見える、崖の方を見ると、雲の絶え間から、万年雪が玻璃の欠片のように白く光って、水の色は、鈍く扁平にひからびている、私は穴蔵へでも引き入れられる