Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
それが過ぎると反動が来て、沈鬱になって頭を低れ手を拱いて黙っている。
宇平がこの性質には、叔父も文吉も慣れていたが、今の様子はそれとも変って来ているのである。朝夕平穏な時がなくなって、始終興奮している。苛々したような起居振舞をする。それにいつものような発揚の状態になって、饒舌をすることは絶えて無い。寧沈黙勝だと云っても好い。只興奮しているために、瑣細な事にも腹を立てる。又何事もないと、わざわざ人を挑んで詞尻を取って、怒の動機を作る。さて怒が生じたところで、それをあらわに発動させずに、口小言を言って拗ねている。
こう云う状態が二三日続いた時、文吉は九郎右衛門に言った。「若檀那の御様子はどうも変じゃございませんか」文吉は宇平の事を、いつか若檀那と云うことになっていた。
九郎右衛門は気にも掛けぬらしく笑って云った。「若殿か。あの御機嫌の悪いのは、旨い物でも食わせると直るのだ」
九郎右衛門のこう云ったのも無理はない。三人は日ごとに顔を見合っていて気が附かぬが、困窮と病痾と羇旅との三つの苦艱を嘗め尽して、どれもどれも江戸を立った日の俤はなくなっているのである。