Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
百物語
何か事情があって、川開きが暑中を過ぎた後に延びた年の当日であったかと思う。余程年も立っているので、記憶が稍おぼろげになってはいるが又却てそれが為めに、或る廉々がアクサンチュエエせられて、翳んだ、濁った、しかも強い色に彩られて、古びた想像のしまってある、僕の脳髄の物置の隅に転がっている。
勿論生れて始ての事であったが、これから後も先ずそんな事は無さそうだから、生涯に只一度の出来事に出くわしたのだと云って好かろう。それは僕が百物語の催しに行った事である。
小説に説明をしてはならないのだそうだが、自惚は誰にもあるもので、この話でも万一ヨオロッパのどの国かの語に翻訳せられて、世界の文学の仲間入をするような事があった時、余所の読者に分からないだろうかと、作者は途方もない考を出して、行きなり説明を以てこの小説を書きはじめる。百物語とは多勢の人が集まって、蝋燭を百本立てて置いて、一人が一つずつ化物の話をして、一本ずつ蝋燭を消して行くのだそうだ。そうすると百本目の蝋燭が消された時、真の化物が出ると云うことである。事によったら例のファキイルと云う奴がアルラア・アルラアを唱えて、頭を掉っているうちに、覿面に神を見るように、神経に刺戟を加えて行って、一時幻視幻聴を起すに至るのではあるまいか。