Japanische Klassiker mit Furigana
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やまつばき
山椿
山本 周五郎
Lesen Sie 山椿 (やまつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.911 Zeichen · 32 Bildschirme
明るい暢びやかな気分をつくることがうまく、家の中に適当な笑い声を絶やさない。だが主馬にはこれが軽薄でうるさく、苦にがしいだけだ。叱るほど不愉快でもないが、いっしょに笑うようなことはめったにない、却って事務のことで出入りする下僚たちが、若い叔母か姉にでも対するように、うちとけたようすで相談をもちかけたり内証で酒をねだったりする。主馬は別に小言は云わないが、決してそれを宜しいと思うことはできなかった。――須藤家との縁談が始まったのは九月のことだ。それから五十日あまり、細ごましたことで主馬はずいぶん気を労らせた。儀礼のほうは叔父の大沼兵庫に頼み、家うちの事は従妹に任せたが、それで済ましていることのできない性分だから、詰りは自分で指図する結果になった。そのうえ嫁の父親である須藤宗右衛門が、中老という身分にこだわるので、ともすると派手になりがちなのが、いっそう気持の負担だった。
「一生にいちどのことですもの、いいじゃあございませんか」
みちはこう云って、なんでも新調しようとした。
「一生にいちどだから、慎ましくしなければならないんだ」
主馬は役所の事務のように費用を削った。