Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまうらきよまろ

山浦清麿

吉川 英治

Lesen Sie 山浦清麿 (やまうらきよまろ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.573 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

小諸の兄弟

一

小諸の兄弟

一

『のぶ。――刀箪笥を見てくれい』

袴の紐を締め終って、懐紙、印籠などを身に着けながら、柘植嘉兵衛は、次の間へ立つ妻の背へ云った。

『――下の抽斗じゃ。この正月、山浦真雄が鍛ち上げて来た一腰があるじゃろう。二尺六寸ほどな物で、新しい木綿に巻き、まだ白鞘の儘で』

『ございました。この刀ではございませんか』

『それそれ』

と、嘉兵衛は手に持つと、座敷の中ほどに、悠ったり坐り直した。

今朝――

この信州松代の城下、長国寺の境内で、藩のお抱え鍛冶、荘司直胤が主催で、大がかりな刀の「試し」がある。

それはもう、明け方から始まっている筈とあって、気短かな嘉兵衛は、

(はやくせい。はやくはやく)

と、食事も急き立てるので、彼の妻は、良人を送り出すのに、うろうろして急いだ程だった。

で、もう玄関には、草履を揃えて、供の仲間も先刻から待っているというのに、嘉兵衛は、白鞘の一腰を払うと、

『のぶ、打粉を出せ』

と落着き直して、悠々と又、刀の拭いをし始めた。

ゆうべも、独りで取出して夜更けまで、眺め入っていた刀である。

よほど、気に入っているらしかった。

『うむ。……いいところがある。