Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

俺は病院なぞへ入る気には成らんよ」

「しかし姉さんだっても、いくらか悪いぐらいには自分でも思うんでしょう。すっかり身体を丈夫にして下さい。家を借りる相談なぞは、その上でも遅かありません」

「いや、どうしても俺は病院へ行くことは厭だ」

こう言っておげんは聞入れなかった。

「ああああ、そんなつもりでわざわざ国から出て来すか」

とまた附けたした。

しかし、熊吉は姉の養生園行を見合せないのみか、その翌日の午後には自分でも先ず姉を見送る支度をして、それからおげんのところへ来た。熊吉は姉の前に手をついて御辞儀した。それほどにして勧めた。おげんはもう嘆息してしまって、肉親の弟が入れというものなら、それではどうも仕方がないと思った。おげんはそこに御辞儀した弟の頭を一つぴしゃんと擲って置いて、弟の言うことに従った。

その足でおげんは小間物屋の二階を降りた。入院の支度するために直次の家へと戻った。彼女はトボケでもしないかぎり、どの面をさげて、そんな養生園へ行かれようと考えた。丁度、国から持って来た着物の中には、胴だけ剥いで、別の切地をあてがった下着があった。丹精して造ったもので、縞柄もおとなしく気に入っていた。