Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
しまいには、その家屋敷も人手に渡り、子息は勘当も同様になって、みじめな死を死んで行った。私はあのお爺さんが姉娘に迎えた養子の家のほうに移って、紙問屋の二階に暮らした時代を知っている。あのお爺さんが、子息の人手に渡した建物を二階の窓の外にながめながら、商人らしいあきらめをもって晩年を送っていたことを覚えている。
この総領子息に比べたら、三番目の妹娘なぞはいくらも分けてもらわない。あの子供らの母さんも、お爺さんのこころざしで一生着る物に不自由はしなかった。そればかりでなく、どうかするとお爺さんのこころざしは幼い時分の太郎や次郎や三郎のような孫の着る物にまで及んだ。しかし、あの母さんが金で分けてもらって来た話は聞かない。ただ一度、私の前に百円の金を出したことがある。私もまだ山の上のわびしい暮らしをしていた時代で、かなり骨の折れる日を送っていたところへ、今の青山の姪の父親にあたる私の兄貴から、電報で百円の金の無心を受けた。当時兄貴は台湾のほうで、よくよく旅で困りもしたろうが、しかもそれが二度目の無心で、私としてはずいぶん無理な立場に立たせられた。その時、あの母さんが私の心配しているのを見るに見かねて、日ごろだいじにしていた金をそこへ取り出した。