Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
が、何者かときかれて、返事に困った。何者かといえば、良人でございますというほかはないので、それは、いやであった。
「日本橋の呉服屋さんでございます」
「日本橋の呉服屋がどうしたのです。どうもわからんな」
「わしにも、わからん」
「いえ」お高は、このまますましたほうがいいと思った。おかしくなって、くっくと笑い出した。「何でもないのでございます。ちょっと――」
「いや、何でもないことはあるまい。ちょっと、どうしたというのか」
「はい。ちょっと――」
「その者はどこにおる」
「もうどこかへ行きましてございます」
「そんなことはあるまい。拙者が見届けて進ぜる。こっちへ来るがよい」
お高は、ためらった。もし磯五が、この荒っぽそうなお武家さまにつかまって、ひどい眼にあわされるようなことがあっては、可哀そうだと思った。かるく抗った。
「いえ。もうよろしいのでございます」
が、龍造寺主計に手をとられて、せきたてられてみると、もともと自分のことなので、また衣かけの松のほうへ引っかえして、龍造寺主計を案内しないわけにはゆかなかった。一空和尚も、ついて来た。お高は、磯五はもういないだろうと思った。