Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
一空和尚は、龍造寺主計という人間が、すぐすきになったとみえて、ことわるのに、そこまでといって、ならんであるいて来たのだ。
龍造寺主計はあわてふためいているお高のようすを、ただごとではないと思った。やさしく抱き起こしてきいた。龍造寺主計は、女には、やさしいところがあるのだ。それは、いやみのあるやさしさではなくて、強いものが弱いものをいたわるというだけの、自然なやさしさだ。
「何ごとが起こったのか。わる者にでも追われましたか」
お高は、明るい世の中へ帰ったようで、うれしかった。着物のみだれを直しながら、しきりに、逃げてきたほうをふり返った。そこの樹のあいだから、今にも磯五が飛び出して来そうで、飛び出して来たら、こんどはこっちから、思いきりいいののしってやりましょうと思った。やっと呼吸をしずめて、口をきいた。
「あの、磯屋五兵衛さまが――」
と、いいかけた。龍造寺主計は、一空和尚の顔を見た。それから、お高へ眼をかえした。
「磯屋五兵衛と申すのは、何者かな。わたしは知らんぞ」
「わしも知らん」
一空和尚が、いった。お高は、ふたりが磯五を知っているわけはなかったと気がついて、いきなり名まえをいったじぶんが、おかしかった。