Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
そこは、店で売った品を、注文に応じて仕立てて届ける、お針たちの詰めているところであった。
お針には、近所の娘や、家持ち番頭の女房などが通ってきていた。大家の婚礼衣裳などを引き請けて、いそぎの品がかさなったときは、夜っぴてここの窓に黄色い灯がにじんで、針と口をいっしょにうごかす女たちのにぎやかな笑い声が、朝までつづくこともめずらしくなかった。
いまも四、五人の若い女が、座敷に仕立てものをひろげて裁ったり縫ったりしているのが、まえを通りかかった磯五に見えた。女たちは、主人を見かけると、いっせいに仕事をよして、手を突いて頭をさげた。磯五は、そのなかに、お針がしらのお市がいるのを知っていた。
お市は、町内の鳶の者の女房で、茶屋女あがりということであったが、それにしては、針が持てるのであった。磯屋のお針頭として、どんな品物を出されても、立派にこなしてゆけるのであった。お市は、ちょいと渋皮のむけた、せいの高い、しじゅうにこにことほほえんでいる女であった。態度にどこかなまめいたところがあって、芸事の師匠といったような女柄であった。
磯五は、このお市が煙たくてしようがなかった。