Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「ええっ! よけいなことを申すな。いつ会ったか、その良人と」
「いえ、会ったことはござりませぬ。会ったことはござりませぬ。ただ、死んだといううわさは聞きませぬから、まだ、生きておるのであろうと思うだけでございます。わたくしは、感じますのでございます。良人は、まだ生きておるのでございます」
若松屋惣七は、だんだん事情がわかってくる気がした。
「その茶坊主の良人とやら、お前には、つらく当たったであろうな」
「はい」
と、お高は、つらかった日を思い出したように、顔を伏せた。若松屋は、形だけの眼をしばたたいて、のぞき込むようにした。
「お前の持っておった金子を横領して、姿を隠したというのであろうな」
「はい」
若松屋惣七は、茶坊主などという、そういう型の男が、眼に見えるような気がした。そういう男に対する嫌悪と憤怒のいろが、白く、彼の額部を走った。同時に、お高に対しては、すこしくやさしい心になったらしい。腕を組んで、庭へ眼をやった。
お高が、いっていた。
「半年ほど、いっしょにいたばかりでございます。つらい半年でございました。あげくの果て、わたくしのお金をさらって、逃げて、おおかた、ほかの女にでも入れ揚げたのでございましょう」