Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
どういうわけでございましょうか」
「ははは」一空さまは、へんなぐあいに笑ったきり、黙りこんでしまうのだ。やがて、やっと感情を押えたような、この人には珍しい、低いきまじめな声だ。
「古い思い出は、いつもしめっぽいものじゃて。おゆうさんは、若死にだった」
おゆうというのは、お高の母であった。お高は一度に、小女のような甘い感傷に包まれていった。
「どうぞ母のことをお聞かせなすってくださいまし」お高は、うつむいていた。「わたくしは、ちっとも覚えておりませんでございます」
「そうであろう。美しかったな。善い女であったぞ。父御は、母さんのことを話されなかったかな」
「いいえ。一度も。母が死にましてから、父は人が変わったのであろうと思いますでございますよ。自暴でございました。家は古石場にございましたが、しじゅう江戸を離れて、旅がちでございました。交わる人もございませんでした。ほんとに一人きり――わたくしとふたりきりの、さびしい暮らしでございました」
「いつ亡くなられたかな」
「父でございますか。もう六年になりますでございます」
「あとを困らんようにして、なくなられたであろうな」