Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
お高は茫然として、お駒ちゃんの項がふるえるのを見おろしていた。
ふたりの女をそのままにして、磯五は、血相変えて式部小路の店を出ていった。出かけに磯五は、居間の欄間にかかっている額の背後から短刀を取って、油がきいているので鞘がすべりあかないように、手ぬぐいに包んで懐中した。
すっかり緑いろの顔色になった磯五が、小石川の金剛寺坂へ急いで、若松屋の屋敷のある坂の中途にさしかかったところに、そこに、草のはえている広っぱがあって、付近の人が加宮跡と呼んでいた。雑草を杖で分けて歩いて来る人影は、若松屋惣七であった。磯五は、つかつかと前へ進んで立った。
日向の庭
一
加宮跡の雑草を踏んで、磯五は、若松屋惣七の眼前へ押しかかって行った。右手をふところへ入れているのは、中で、匕首を包んである手ぬぐいをほどいているのだ。若松屋惣七が、よく見えない眼をまばたいて、それが磯屋五兵衛であることに気がつくまでには、ちょっと間があった。
「何しに来たのだ」若松屋惣七は、歯のあいだからうめいた。
「お高は、おらんぞ」
「お高に用があって来たんじゃあねえ。おめえに用があって来たのだ」