Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
そして、朝になって奥から下げられて来たお美代は、すぐ泣いたり、すぐ笑ったり、つまらないことで赧い顔をして、そわそわしたり、そうかと思うと、しじゅうぼんやりしているお美代になっていた。夜中に、寝巻きの肩をふるわせて、奥と下のあいだの廊下にしょんぼり立って泣いているところを、朋輩にみつかったりした。
お美代は、いつのまにか磯五を恋することを教えられていたのだ。
そのお美代を、磯五はいま膝にのせて、いろいろに膝をゆすぶって、笑っていた。
「そら! 船だぞ」
磯五が、子供にいうようにいって、そして、抱いている子供にするように、膝を大きく揺すると、お美代は昼日中主人とふざけていることを忘れて、鈴がころがるようなけたたましい声をたてて笑った。磯五はびっくりして、膝をゆすぶるのをよした。
「いけねえよ。美い坊は声が大きいから、はらはらするのだ」
お美代は笑いを押しもどすように、口に袂を持って行ったが、膝をおりようとはしなかった。
「だって、旦那様が、あぶないことをなさるんですもの」
「なに、誰もあぶねえことなどしやしねえ」
「だって、落ちそうになるのですもの」
「落ちても、ころがっても、誰も見ていねえからいいのだよ」