Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
眼が、うわずって、光っていた。おしんは、ばたばたとはいってくると、沈むようにお美代のまえにすわった。お美代は、とぶように磯五の膝からおりて、べったり畳に腰をつけていた。
突っかかるように、おしんがいっていた。
「この娘は――、この娘はずうずうしいにもほどがあるよ。前から知ってはいたけれど、真っ昼間から何だろう。こんなところで、旦那様に抱きついたりなんぞ、いやらしい」
お美代は、だまって、おしんの顔をみつめていた。おしんも、口をあけたてするだけで、無言で、相手をにらみつけた。
こまかい着物を着た年増と、派手な衣裳の娘と、それは、年とった牝猫と若い牝猫との喧嘩の場面を磯五に聯想させて、真ん中にすわっている磯五が、困りながら、内心面白くてくすくす笑って、けしかけるようなこころもちで見物しているとき、もう一度障子が人影を浮かべて、手代のひとりが、ちょっとあたまをのぞかせた。
「日本一の師匠がおみえになりましたが」
「ああそうかい。会いましょう。居間のほうへ通しておきな」
磯五は、それを機に、女ふたりを残してにらみ合わせておいて、あたふたと室を出て行った。
出がけに、ふり返っていった。