Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
追っ手だ!
と知るや、女はきっとなった。
同時に振りから腋の下へ手を差し入れて懐中の小判包みをしっかり押えて、しゃなり、しゃなりと歩き出した。
うまくゆくかどうか、ま、一つとぼけてやれという気。
で、夢のような夜気のこめる往来に立って、女はつと空を仰いだ。白じらと七つのお星さまが光っている。
「まあ、夜分はわりかた冷えるねえ」
早鐘のようにときめく胸から出る声にしては、あっぱれ落ち着いたものだ。ちょいと斜めに小襟を突き上げると、
はあくしゃん!
と色気抜きのくしゃみ。
が、そのときはもう荒くれ男がぐるりとあたりを取り巻いて、あとへも先へも動きがとれない。
女はすっかり度胸をきめた。
思い思いにはんぱな服装をした三下が、めいめい一かどの悪らしい顔つきで、雲助然と通せんぼうをしている。
「やいやい。阿魔っちょ、どこへ行くんでえ」
坊主頭に腹掛け一つという、山賊の走り使いみたいな玄妙不可思議なのが前へ出て来た。
「手前のからだに用があってな、ちょっくら引っかついで行くからそう思いねえ」
「なあ姐さん、悪いこたいわねえからおとなしく来なよ」
「こうっ! じたばたすれあおっかねえ目にあうばかりだぜ」