Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
女が家へはいると、里好先生の心づくしの、貧しい朝飯が待っていた。
こう差し向かいで猫板の上を突ついているのだが、里好師がすっかり解脱しているだけに、双方すこしも艶っぽい気は起こらない。
それどころか、熱い御飯に情けを感じて、女はともすればほろりと来そう。
やがて番茶をすすりながら、そそくさと楊枝を使って、里好がちょっと改まった。
「昨夜はひどく疲れていなすったようだから、そのまま寝かして進ぜたが、お前さんはどこの人かね?」
よくきかれる問いである。女はさっそく用意の嘘を出した。
「はあ。浅草のお福の茶屋、うれし野のおきんと申す者でございます」
御免安のことばがこのさい大いに役に立ったわけ。
「へえい!」と里好はすっとんきょうな声を出した。「今評判の別嬪嬉し野のおきんさんてなあお前さんのことかえ。いや、知らぬこととはいいながら数々の無礼、このとおりおわびを、はっはっは」
「あれ、おなぶりなすってはいやでございます。別嬪などと、ほほほほ」
「いや別嬪だ、誰が何といっても別嬪だ。ふうむ、してまた、その嬉し野のおきんさんがどうして昨夜のようなことに?」
「はい」と口ごもったが、一つ嘘をつけばあとはわけはない。