Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
穴あらばはいりたい。――ほとんどそんな悩みを覚えるのだった。
何も自分ひとりの手落ちというわけではなし、また仮に邦之助が単身ふんばってみたところで天下の大勢をどうすることもできないのだが、そこが苦労性の生まれつきでしようがない。まるで青菜に塩の体で、考え込みながらふらふらと数寄屋橋御門から西紺屋の河岸っ縁へ出た。
もう四刻をまわっている。
暗いなかにどこか空あかりが漂っている美しい晩だ。
思案に沈んでいた税所邦之助、背後の供が何かいうのも聞こえなかったが、やにわに横合いから提灯を突きつけられてびっくりした。
「お! な、何者だ?」
急の光に眼がくらんで相手の顔は見えない。
と、すっと提灯が下がった。
「人違いでござる。粗忽、ごめんを――」
声に記憶があった。とたんに、提灯の火が消えた。
「や!」
邦之助の手が、思わず刀の柄にかかる。ところが男は、慇懃に小腰をかがめているようだ。
こやつ、見たことのある顔!
ああ、そうだ。確か名を篁守人――本所の玄鶯院宅方来居へ乗り込んだとき、玄関に寝ていたあの若い浪人者――。
怪しい! 寄って来たら真っ二つと! 邦之助が構えていると、守人は一歩下がって、