Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

どうも不思議な御縁だねえ

こうしてお蔦が井戸の底の生活にはいったのは、何日前のことであろうか。

夜も昼もないここでは、日のたつのは数えようもなかったが、三つの食事を一日としても、もうだいぶんの日数がたっていなければならない。そのあいだに何が起こり、どんな出来事が発生したか。

何事もなかった。

ただ、同じ扮装をした三百人近くの人数とともに、その中に連れの里好をも見失ってしまったお蔦は、誰とも話さず、どの袋とも語らず、黙々として立ち、歩き、座し、寝て、日を送っていた。

誰が誰やらわからぬこの井戸の底の世界は、世を隠れる者、身を秘める人にとりては、まことに何より安息所、休息所といわなければならない。それかあらぬか、新たにはいって来る者はあっても、出て行くものはとんとないようである。地の底とは思われない広い部屋に、大勢の黒い塊が累々と、また蠢々と、動きまわり、かたまり合っているところ、実に浮世離れのしたながめであった。

何者の力、何者の仕事であろう。

こうして、人を集め、寝食を与えて、幾日でも、幾月でも、泊め置くとは?

何のため? 因縁のある人を隠まうため。