Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
が、私の別天地は譬えば塗盆へ吹懸けた息気のような物だ。現実界に触れて実感を得ると、他愛もなく剥げて了う、剥げて木地が露われる。古手の思想は木地を飾っても、木地を蝕する力に乏しい。木地に食入って吾を磨くのは実感だのに、私は第一現実を軽蔑していたから、その実感を得る場合が少く、偶得た実感も其取扱を誤っていたから、木地の吾を磨く足にならなかった。従って何程古手の思想を積んで見ても、木地の吾は矢張故のふやけた、秩序のない、陋劣な吾であった。
こうして別天地と木地の吾とは別々であったから、別天地に遊んでいる時と、吾に戻った時とは、勢い矛盾する。言行は始終一致しない。某大家に対しても、未だ会わぬ中は多少の敬意を有っていたけれど、一たび其人の土気色した顔が見え、襟垢が見え、襁褓が見えて想像中の人が現実の人となると、木地の吾が、貧乏だから下らんと、別天地では流行せぬ論法で論断して之を軽蔑して了ったのだ。
唯当時私はまだ若かったから、陋劣な吾にしても、私の吾には尚お多少の活気が有って、多少の活機を捉え得た。文壇の大家になると、古手の思想が凝固まって、其人の吾は之に圧倒せられ、纔に残喘を保っているようなのが幾らもある。