Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
平凡
一
私は今年三十九になる。人世五十が通相場なら、まだ今日明日穴へ入ろうとも思わぬが、しかし未来は長いようでも短いものだ。過去って了えば実に呆気ない。まだまだと云ってる中にいつしか此世の隙が明いて、もうおさらばという時節が来る。其時になって幾ら足掻いたって藻掻いたって追付かない。覚悟をするなら今の中だ。
いや、しかし私も老込んだ。三十九には老込みようがチト早過ぎるという人も有ろうが、気の持方は年よりも老けた方が好い。それだと無難だ。
如何して此様な老人じみた心持になったものか知らぬが、強ち苦労をして来た所為では有るまい。私位の苦労は誰でもしている。尤も苦労しても一向苦労に負げぬ何時迄も元気な人もある。或は苦労が上辷りをして心に浸みないように、何時迄も稚気の失せぬお坊さん質の人もあるが、大抵は皆私のように苦労に負げて、年よりは老込んで、意久地なく所帯染みて了い、役所の帰りに鮭を二切竹の皮に包んで提げて来る気になる、それが普通だと、まあ、思って自ら慰めている。
もう斯うなると前途が見え透く。もう如何様に藻掻たとて駄目だと思う。残念と思わぬではないが、思ったとて仕方がない。