Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

お糸さんという人は滅多に手を出せば、屹度甚い恥を掻かすけれど、一度手に入れたら、命懸けになる女だと、何故だか私は独りで極めていたから、危険で手が出せなかったが、傍から観れば、もう余程妙に見えたと見えて、他の客はワイワイいって騒ぐ。下女迄が私の部屋を覗込んでお糸さんが見えないと、奥様は、なぞといって調戯うようになる。こうなると、お神さんも目に余って、或時何だか厭な事をお糸さんに言ったとかで、お糸さんが憤っていた事もある。私は何だか面白いような焦心たいような妙な心持がする。それで夢中になって金ばかり遣っていたから、一度申訳に聊かばかり送金した限で、不覚国へは無沙汰になっている中に、父の病気が矢張好くないとて母からは又送金を求めて来る。遂に伯父からも注意が来た。其時だけは私も少し気が附いて、急いで、書掛けた小説を書上げて若干かの原稿料を受取ったから、明日は早速送金しようと思っていた晩に、お糸さんが切りに新富座の当り狂言の噂をして観たそうな事を言う。と、私も何だか観せてやり度なって、芝居だって観ように由っては幾何掛るもんかと、不覚口を滑らせると、お糸さんが例になく大層喜んだ。