Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
八
祖母に死別れて悲しかったが、其頃はまだ子供だったから、十分に人間死別の悲しみを汲分け得なかった。その悲しみの底を割ったと思われるのは、其後両親に死なれた時である。
去る者日々に疎しとは一わたりの道理で、私のような浮世の落伍者は反て年と共に死んだ親を慕う心が深く、厚く、濃かになるようだ。
去年の事だ。私は久振で展墓の為帰省した。寺の在る処は旧は淋しい町端れで、門前の芋畠を吹く風も悲しい程だったが、今は可なりの町並になって居て、昔能く憩んだ事のある門脇の掛茶屋は影も形も無くなり、其跡がBarber'sShop と白ペンキの奇抜な看板を揚げた理髪店になっている。
が、寺は其反対に荒れ果てて、門は左程でもなかったが、突当りの本堂も、其側の庫裏も、多年の風雨に曝れて、処々壁が落ち、下地の骨が露われ、屋根には名も知れぬ草が生えて、甚く淋れていた。私は台所口で寺男が内職に売っている樒を四五本買って、井戸へ掛って、釣瓶縄が腐って切れそうになっているのを心配しながら、漸く水を汲上げた。手桶片手に、樒を提げて、本堂をグルリと廻って、後の墓地へ来て見ると、新仏が有ったと見えて、地尻に高い杉の木の下に、白張の提灯が二張ハタハタと風に揺いでいる。