Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

それよりは其隙で内職の賃訳の一枚も余計にして、もう、これ、冬が近いから、家内中に綿入れの一枚も引張らせる算段を為なければならぬ。

もう私は大した慾もない。どうか忰が中学を卒業する迄首尾よく役所を勤めて居たい、其迄に小金の少しも溜めて、いつ何時私に如何な事が有っても、妻子が路頭に迷わぬ程にして置きたいと思うだけだが、それが果して出来るものやら、出来ぬものやら、甚だ覚束ないので心細い……

が、考えると、昔は斯うではなかった。人並に血気は壮だったから、我より先に生れた者が、十年二十年世の塩を踏むと、百人が九十九人まで、皆じめじめと所帯染みて了うのを見て、意久地の無い奴等だ。そんな平凡な生活をする位なら、寧そ首でも縊って死ン了え、などと蔭では嘲けったものだったが、嘲けっている中に、自分もいつしか所帯染みて、人に嘲けられる身の上になって了った。

こうなって見ると、浮世は夢の如しとは能く言ったものだと熟々思う。成程人の一生は夢で、而も夢中に夢とは思わない、覚めて後其と気が附く。気が附いた時には、夢はもう我を去って、千里万里を相隔てている。もう如何する事も出来ぬ。