Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
「私廃してよ」、という。
部屋で机の前で今日の新聞を一寸読む。大抵続物だけだ。それから編棒と毛糸の球を持出して、暫くは黙って切々と編物をしている。私が用が有って部屋の前でも通ると、「古屋さん、これ何になると思って?」と編掛けを翳して見せる。私が見たんじゃ、何だか円い変なお猪口のような物で、何になるのだか見当が附かないから、分らないというと、でも、まあ、当てて見ろという。熟考の上、「巾着でしょう?」というと、「いいえ」、と頭振を振る。巾着でないとすると、手袋には小さし、靴下でもなさそうだし、「ああ、分った! 匂袋だ」、と図星を言った積でいうと、雪江さんは吃驚して、「まあ、可厭だ! 匂袋だなんぞッて……其様な物は編物にゃなくッてよ。」匂袋でもないとすると、もう私には分らない。降参して了うと、雪江さんは莞爾ともしないで、「これ、人形の手袋。」
雪江さんは一つ事を何時迄もしているのは大嫌いだから、私がまだ自分の部屋の長四畳へ帰るか帰らぬ中に、もう編物を止めて琴を浚っている。近頃では最うポコンのベコンでも無くなった。斯うして聴いていると、如何しても琴に違いないと、感心して聴惚れていると、十分と経たぬ中に、ジャカジャカジャンと引掻廻すような音がして、其切パタリと、琴の音は止む……ともう茶の間で若い賑かな雪江さんの声