Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ねんがじょう

年賀状

寺田 寅彦

Lesen Sie 年賀状 (ねんがじょう) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.248 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

」

こんな好い加減の目の子勘定を並べてありふれの年賀状全廃説を称えていたが、本当はそういう国家社会の問題はどうでもよいので、実際はただせっかくの書きいれ時の冬の休みをこれがために奪われるのが彼の我儘に何より苦痛であったのである。

字を書くことの上手な人はこういう機会に存分に筆を揮って、自分の筆端からほとばしり出る曲折自在な線の美に陶酔する事もあろうが、彼のごとき生来の悪筆ではそれだけの代償はないから、全然お勤めの機械的労働であると思われる上に、自分の悪筆に対する嫌忌の情を多量に買い込まされるのである。この点はいくらか同情してもよい。

かくのごとく我儘であるくせにまた甚だしく臆病な彼は、自分で断然年賀端書を廃して悠然炬燵にあたりながら彼の好む愚書濫読に耽るだけの勇気もないので、表面だけは大人しく人並に毎年この年中行事を遂行して来た。早く手廻しをすればよいのに、元日になってから慌てて書き始める、そうして肩を痛くし胃を悪くして溜息をしているのが、傍から見ると全く変った道楽としか思われないのであった。

ところが、不思議なことに数年前から彼鵜照君の年賀状観が少なからず動揺を始めた。